自然の中で過ごすキャンプでは、椅子に座っている時間が意外と長いものです。焚き火を眺めたり、食事を楽しんだり、星空を見上げたり――そんなひとときを快適にするために欠かせないのが、自分に合ったキャンプチェアの選択です。一見どれも同じように見えるチェアですが、実は「座面の高さ」「形状」「素材」「安定性」「収納性」によって、座り心地や疲れにくさが大きく異なります。今回は、長時間座っても疲れにくいキャンプチェアを選ぶためのポイントを、ローチェアとハイチェアの違いを中心に解説します。
ローチェアとは?リラックス感を重視するスタイル
ローチェアは、地面に近い低めの座面が特徴です。座面高はおおよそ20〜35cm前後で、地面との一体感があり、足を伸ばしてリラックスできる姿勢を取りやすい構造になっています。この高さは、焚き火の炎を近くで感じたい人や、自然の中でゆったり過ごしたい人にとって理想的です。座ったときに重心が低く安定しており、身体を預けてもぐらつきにくいのが魅力です。また、背もたれが深く設計されているモデルが多いため、腰や背中を自然な角度で支え、長時間座っていても疲れにくい傾向があります。
ただし、ローチェアには注意点もあります。座面が低いため立ち上がるときに少し力が必要で、膝や腰に負担がかかる場合もあります。また、テーブルとの高さが合わないと、食事や作業時に前かがみの姿勢になりやすい点も覚えておきたいところです。それでも、「焚き火を囲みながら足を投げ出す」「自然と一体になる感覚を味わう」というキャンプらしい時間を重視する人には、ローチェアが最も快適な選択肢となるでしょう。

ハイチェアとは?立ち座りやすく食事シーンに最適
一方で、ハイチェアは座面高が40〜50cmほどあり、一般的な家庭用の椅子に近い高さです。立ち座りがスムーズで、腰への負担が少ないため、食事や作業など動きの多いシーンに向いています。
特に、キャンプテーブルを使用する場面ではハイチェアのほうが姿勢が安定し、長時間の食事や調理も快適にこなせます。背筋が自然に伸び、体が前傾しすぎないため、肩や首の疲労を軽減できるのも利点です。
さらに、ハイチェアは視界が高く、周囲を見渡しやすい点も魅力です。家族や仲間と会話を楽しみながら過ごすキャンプスタイルにもぴったりです。ただし、脚が長いため、地面が柔らかい場所では沈みやすく、傾斜地では安定性に注意が必要です。また、収納時にややかさばる傾向があり、持ち運びのしやすさを重視する人には不便に感じることもあります。
素材による座り心地の違い
チェアの座り心地は、形状だけでなく素材選びでも大きく変わります。座面が布製の場合は、通気性が高く、夏場でも蒸れにくいのが特長です。特にメッシュ素材は軽量で乾きやすく、汗ばむ季節でも快適に使用できます。一方、キャンバスやコットン素材は肌触りが柔らかく、冷えにくいのが魅力です。秋冬のキャンプや焚き火の近くでも心地よく過ごせます。
ただし、火の粉に強いかどうかは素材によって異なるため、焚き火を楽しむ場合は耐熱性に優れた生地を選ぶと安心です。フレーム部分はアルミやスチールなどが主流ですが、軽量性を求めるならアルミ、安定性を重視するならスチールがおすすめです。長時間座る場合は、座面の張り具合やフレームの剛性が疲労感に直結します。適度な弾力としっかりした構造を持つチェアほど、体への負担を減らすことができます。
安定性と座り心地の関係
「長時間座っても疲れない」ために欠かせないのが安定性です。安定性が不足していると、微妙な体のバランスを取るために筋肉が常に緊張し、知らないうちに腰や背中が疲れてしまいます。チェアの脚が地面にしっかり接地しているか、座ったときにぐらつかないかは、実際に使ってみないと分からないこともあります。地面が柔らかい場所や傾斜のあるサイトでは、脚の幅が広めで、重心の低いチェアのほうが安定しやすいです。
また、座面の角度や背もたれの高さも快適さを左右します。背もたれが直立しすぎていると、長時間座った際に背筋や肩がこりやすくなります。逆に、少し後傾した設計のチェアは体重を自然に分散し、リラックス姿勢を保てるため疲れにくい傾向があります。
収納性・携帯性も見逃せないポイント
キャンプでは、設営や撤収の時間も快適さに影響します。どんなに座り心地が良くても、持ち運びが大変なチェアではストレスを感じてしまいます。軽量でコンパクトに折りたためるチェアは、移動時や車載時の負担を軽減し、結果的に“疲れにくいキャンプ体験”をサポートします。特にソロキャンプや徒歩キャンプでは、チェア自体の重量が快適さに直結します。軽さと強度のバランスを考え、持ち運びやすく安定感のあるモデルを選ぶことが理想です。

シーン別のおすすめ:焚き火と食事で使い分けよう
焚き火を囲んでのんびり過ごすシーンでは、地面との距離が近いローチェアが断然おすすめです。足を投げ出して座れば、自然と体がリラックス状態になり、焚き火の暖かさをダイレクトに感じられます。夜の冷気や火の明かりを楽しみながら、心身ともに落ち着く時間を過ごせるでしょう。
一方で、食事や調理など動きのある場面ではハイチェアのほうが快適です。テーブルとの高さが合うことで姿勢が崩れにくく、長時間でも腰への負担が少なく済みます。立ち座りもスムーズなため、家族や友人との会話を中断することなく食事を楽しむことができます。
自分に合ったチェアを見つけるために
キャンプチェア選びで大切なのは、自分のキャンプスタイルを明確にすることです。「焚き火を中心にリラックスしたい」「食事や作業がメイン」「荷物をできるだけ軽くしたい」など、優先するポイントによって最適なチェアは異なります。ローチェアとハイチェアのどちらか一方に絞るのが難しい場合は、用途に応じて使い分けるのもおすすめです。ソロキャンプ用とファミリーキャンプ用で異なるタイプを持っておくと、どんなシーンでも快適に過ごせます。最終的には、座ってみたときの感覚が最も大切です。体の重心が安定し、背中を自然に預けられるチェアこそが、長時間でも疲れにくい“自分専用の一脚”といえるでしょう。
まとめ
ローチェアはリラックス重視、ハイチェアは動作重視。それぞれの特徴を理解し、自分のキャンプシーンに合わせたチェアを選ぶことで、アウトドアの快適さは格段に向上します。「長時間座っても疲れない」チェアは、自然の中で過ごす時間をより豊かにしてくれる存在です。ぜひ、自分にぴったりの形状と座り心地を見つけて、快適なキャンプライフを楽しみましょう。








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